マネージャは戦略を、リーダーは戦術を、役割をわけよう
春は昇格・昇任の時期ですね。
と、同時に、
「昇格したはいいけど、マネージャって何をしているんだろう?」
「リーダーの権限ってなんだろう?」
と役割と権限で悩む時期でもあります。
実は、一部の大手を除き、リーダー研修を実施する企業は少なく、下記の調査結果によると、例えば、係長・チームリーダー研修の実施率は 1000名以上の企業でも 50% 、 1000名未満の企業では 40% を切ります。
ということは、会社からは教えられず、自分で役割を考えるリーダーが大半 なのです。
ちなみに、一番実施率の高いポジションは課長で、1000名以上 / 未満 どちらとも 70% 以上の実施率で、次の部長になると実施率は減少し、1000名以上で 40% 、1000名未満で 20% です。
もう部長クラスは自分でなんとかせい、というメッセージなのでしょうか。
人材開発を支える 3つの変化 - リクルートマネジメントソリューションズ
9ページ【階層別研修の実施状況(従業員規模別)】より
マネージャとリーダーの役割と権限、企業によって変わりますが、皆さんのチームや組織ではいかがでしょうか?
もし、定義されていない、もしくはフワッとした定義で、曖昧だなぁと思うことがあれば、この記事が参考になれば幸いです。
目次
マネージャとリーダーの役割が似ている??
マネージャとリーダー、どちらのポジションが上なのか議論になるところですが、この記事の趣旨ではないので、ここでは先程の調査結果の通り、課長がマネージャ、係長がリーダーのように捉えます。
さて、ポジションが上位になるということは、マネージャのほうが何か高度なことをやっていそうですが、実際のところはどうでしょうか。
Web記事における役割の違い
まずはWebにある記事から、マネージャ/リーダーをどのように書いているか、"マネージャー 役割" 、"リーダー 役割" それぞれの検索上位3位の記事をもとに役割を比較してみました。
"マネージャー 役割"の検索上位3位 | 役割 | "リーダー 役割"の検索上位3位 | 役割 |
---|---|---|---|
マネージャーの仕事とは? マネージャーが果たすべき3つの役割 │ Ritoriりとり |
- 方針を明確にする - 管理する - 評価する |
リーダーシップとは? リーダの役割と優秀なリーダーが持つ10の要素 | Senses |
- 目標を設定する - 組織の環境を整備する - 手本になる - メンバーが主体的に動くように働きかける |
「マネージャー」とは? 意味や求めれる役割・能力、心得から育成方法までご紹介 | BizHint(ビズヒント)- 事業の課題にヒントを届けるビジネスメディア |
- 組織の統括・管理 - 部下の育成・指導 - 組織の成果への責任 - 責任感のある意思決定 |
リーダーに求められる4つの役割とは | 社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクール |
- 方向性を示す - 組織を整える - エンパワーメントを進める - 模範となる |
マネジメントとは何か? 管理職が担うマネージャーの役割と仕事内容 | 社員研修・社員教育のリクルートマネジメントスクール |
- 部下の動機づけをする - 目標を設定する - 適切な指導を行う - 定期的に評価・フィードバックを行う |
リーダーにはトップの代わりにチームを管理する【4つの役割】がある | - チームを束ねる役割 - メンバーを育てる役割 - 業務を管理する役割 - 情報を連携する役割 |
......うーむ、マネージャもリーダーも同じような役割に見えますね。
ただでさえ、人手が不足する時代、 上位のマネージャとリーダーで 役割=やることに重複があると、とっっ (中略) っってもツラい ところです。
サラリーもいいはずですし、もし同じようなレポートをどちらにも出さないといけないとなると、、、オーバーコストもいいところです。
皆さんの企業・組織・チームではいかがでしょうか?
なぜ、このようなことが起こるのか?
結論をいうと、定義が曖昧だから、です。
定義が明確であれば、先程のWeb記事の内容も統一されるはずです。
ということは、各企業・組織・チームによってマネージャ、リーダーの定義が必要になり、それが定義されていない企業では、個人個人でなんとなく役割をイメージする、もしくは該当のポジションに就いている人をロールモデルとしてイメージを作ります。
となると、"私の考える" 最強のマネジメント、"私の考える" 最強のリーダーシップが出来上がり、役割が重複する結果になります。
では、マネージャとリーダーの役割が重複しないよう、どう定義すれば、よいのでしょうか?
こういうときは "原点に帰れ" というのが先人の知恵です。
マネジメントの起源で調べてみる
マネジメントの存在を生み出したとされる "軍隊" では、どのように定義されているのでしょうか。調べてみました。
階級 | やること |
---|---|
将官 | 戦略レベルでの作戦指導を策定 |
下士官 | 戦術レベルで将校を補佐。兵をまとめて小隊の指揮を取る |
兵 | 実際に行動する人 |
さすがに、指揮命令系統が整っているだけあって、わかりやすいですね。
将官は、将来どのような脅威やリスクが想定され、その脅威やリスクが発生した場合、どのようにディフェンスするか、など戦略レベルで考えて準備・実行します。
下士官は、実際の現場を想定して、小隊の訓練や局地戦での戦法、機器の使用方法の共有など、戦術レベルで考えて、準備・実行します。
これを調べると、マネージャとリーダーの役割を考えるうえで、とてもよいヒントになりました。
マネージャは戦略担当、リーダーは戦術担当
そう、 マネージャは戦略を担当 し、 リーダーは戦術を担当 するのです。
もっとわかりやすいよう、例えば、営業組織で考えてみましょう。
営業マネージャの役割
- 会社の成長と市場規模を考えて、どの業種、業界・クライアント規模を狙うのか決める
- 業界・クライアントニーズを捉えた商品・サービス構成を決める
- それにふさわしいチーム構築・セールススタッフの配置・採用を決める
- デリバリまでのオペレーションなど、どう組織を連携させるか決める
など、企業・組織・チームが成長・拡大できるよう、営業戦略を考えます。
営業リーダーの役割
- 実際に担当する顧客のリストを作成・各セールスに割り振る
- 各セールスが持つ企画書や提案書、資料など営業ツールを整備する
- 顧客に刺さるトークスクリプト、メールテンプレートなどベストプラクティスを作る・共有する
- 各セールススタッフを育成する
など、各セールスがクライアントや案件を獲得できるよう、チームの営業戦術を考えます。
役割がキレイに分かれましたね。
もちろん、人数が少ない場合は、マネージャが戦略も戦術もどっちもやりますが、組織・チームが成長すれば、戦術を分離してリーダーを任命しましょう。
ちなみに、他のオペレーション部門や人事部門、開発部門も、同じようにマネージャとリーダーの役割を分けられます。
例えば、分業化が進んでいる開発部門では、技術選定はマネージャが行い、実装のベストプラクティスはリーダーが考えていたりします。
マネージャとリーダーの連携
"例えば" の話を少しだけ続けます。ここではプロスポーツで考えてみましょう。
プロスポーツではGM、監督、プレイヤーと役割が異なるので、GMがマネージャ、監督がリーダー、となりますね。
そして、プロスポーツを例にすると、連携が必要なこともわかります。
例えば、チャンピオンズリーグ3連覇という偉業を成し遂げたのは、ジダン監督と選手だけでなく、ジダン監督を招聘し、コーチ時代から育て、監督が思い描く組織・チームを構成したGMのおかげでもあります。
そのGMと監督とが綿密に連携したからこそ、3連覇できたとも言えるでしょう。
ビジネスでも、実際にリーダーが戦術を試してみたフィードバックによって、好調ならマネージャが大胆に追加投資したり、不調なら即刻、撤退を決めますが、この連携でタイムロスがあると当然、チャンスを逸したり、ピンチが拡大します。
マネージャとリーダーが単純に仲が悪いと、連携が上手くいくことは少ないので、注意しておくと良いかも知れません。(大人なんだからビジネスライクに、、、とはできず、人間は感情の動物なのでムリです。。)
まとめ
ということで、マネージャとリーダーの役割は会社から教えられることが少なく、また、その定義が曖昧なために、やっていることが似通ったりしています。
それはとても ムダ もったいない ことなので、原点に帰って、マネージャは戦略担当、リーダーは戦術担当と役割をわけよう、というお話でした。
もし所属する企業・組織・チームで定義が曖昧だと感じたなら、この役割分担はとてもわかりやすいので、理解・浸透・実行に移しやすいのではと思っています。
-CM-
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